こつそしょうしょう
骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気
症状
骨粗鬆症とは、骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症によって骨がもろくなってくると、ちょっとしたはずみで骨折を起こしやすくなり、骨折が原因で寝たきりにつながることもあるため、日常生活を送るうえで骨折を起こしにくい丈夫な骨にするための適切な治療が必要となります。
主な症状としては背中や腰が曲がる、背中や腰が痛む、背がちぢむ、転んだり尻もちをつくなどちょっとしたはずみで骨折をするなどです。
年齢が高くなるほどなりやすく、40歳以上の女性においては4〜5人に1人が骨粗鬆症ともいわれています。
痛みをあまり感じない(いつのまにか骨折)をしていることが多く、1度目の骨折に気づかないうちに、生活に支障をきたす所を骨折してしまうこともあります。
また何らかの衝撃で背骨がつぶれてしまう椎体骨折は、日常生活での腰をかがめて重い物を持つ、体をひねるなど腰に負担がかかる動作で起こし易く痛みが軽度(いつのまにか骨折)の場合が多く、何ヶ所かで起きると背中が丸くなり身長が縮むなどの外見の変化が表れます。
原因
骨は生涯をとおして新陳代謝が行われています。
骨の健康は、骨の表面に存在している破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成が絶えず行われることで保たれています。
つまり骨は破骨細胞が古くなった骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨を作ることで、常に新陳代謝を繰り返し強さを維持しています。
しかし閉経や加齢によって新しく作られる骨の量よりも壊される骨の量が上回り、骨吸収が形成よりも盛んになると骨がスカスカになってしまい、その結果骨粗鬆症になると考えられます。
診断
⑴ X線検査で背骨に骨折があるか、背骨の変形がどのくらい進んでいるかを確認します。
⑵ 骨密度測定で骨密度を調べます。
⑶ 骨代謝マーカー測定 骨から尿や血液に出てきた物質で骨がどのくらい壊されているか、どのくらい作られているか、その状態を見ることができます。
骨密度を調べるDXA法では、YAM(Young Adult Mean:若年成人平均値)という20〜44歳の健康な人の骨のカルシウム量(骨密度)を100%として、患者さんの数値と比較します。
それがおよそ70%以下の場合またはすでに骨折がある場合は80%未満であれば骨粗鬆症と診断し、治療を開始します。
治療
1 薬物療法
骨を壊す働き(骨吸収)を抑える薬と骨を作る働き(骨形成)を促す薬があり、患者さんの骨密度の程度や骨折の危険性などを考慮して、お薬が選択されます。骨検査で(骨粗鬆症)と診断したら、早めの治療が肝心です。骨からカルシウムが溶け出すのを抑える(骨代謝抑制剤)や骨が作られるのを促す(骨形成促進剤)、またビタミンDなどの薬で骨折はかなり防げるようになりました。
2 食事療法
骨の構成成分であるカルシウムの摂取は骨粗鬆症の予防、治療において重要です。牛乳、豆腐、ししゃもなどカルシウムの多い食品をバランスよくとりましょう。
特に納豆の効果がおすすめです。
全国の骨折の発生率に関する調査結果では、東北は骨折の発生率が低く、東日本より西日本の方が骨折率が高いことが分かっています。これは、とくに納豆の消費が西日本より東日本の方が多いのが要因だと言われています。
3 運動療法
運動療法は骨を刺激し丈夫にする効果が期待でき、筋肉を鍛えることで転倒予防にもつながります。
ジョギングや散歩など自分に合った運動療法を行いましょう。
また運動療法の中でも骨に衝撃を与えることが骨粗鬆症に対しては効果があるようです。
そして骨に衝撃を与える骨トレとして今1番注目されているのが「かかと落とし」です。
「かかと落とし」のやり方
【かかとを上げる高さ】2~3cmから始め、少しずつ高くする。体調や慣れに伴い、高さを調節する。
【ポイント】1日50回を目安に毎日続けること。
① 背すじを伸ばし足を肩幅に開いて立つ。
② 両足のかかとを上げる。
③両足のかかとを床にストンと落とす。
※②~③をくり返す。
院長からの一言
・どうして骨粗鬆症の治療が必要なのか?
最近日本全国超高齢化社会となってきています。 80代から90代は珍しくなくなってきました。特に長野県はその中でもトップクラスです。私たち近郊の松本市も例外ではありません。ただこれに伴って骨粗鬆症といった病気が問題となってきます。骨粗鬆症は以前は老化だと思われていましたがこれは高齢者に多いれっきとした病気です。
100歳になっても骨が丈夫な人もおり、くれぐれも言いますが老化ではありません。
また骨粗鬆症になると骨折が生じ易くなり、さらに骨粗鬆症による骨折は、連鎖する(ドミノ骨折)ということがさらに大きな問題です。
次からつぎと骨折する事をドミノ骨折と言います。一度背骨を骨折すると次の背骨の骨折を起こす危険性が5倍に、太もものつけ根の骨折を起こす危険性は2.5倍になることがわかっています。一度骨折するとドミノ倒しのように次々と骨折する危険性が高まります。初回の骨折後1年以内がドミノ骨折の危険性が一番高いと言われています。そのため、骨粗鬆症と診断されたら最初の骨折を起こさないように治療を開始することが大事です。でも、不幸にも骨折した場合は、次の骨折を引き起こさないために、骨粗鬆症の治療をすぐに始めること、そして続けることはとても大切なことです。これは骨折を起こしてしまうとこれを機に寝たきりなってしまい介護が必要になる方が多いからです。これが一番怖いのです。
あまり知られていませんが骨粗鬆症は、「介護が必要となった原因」の第一にもなっています。これからの社会はこの骨粗鬆症と言う疾患はとても重要な病気です。