へんけいせいしつかんせつしょう
中高年の膝関節痛の主な原因、特に女性に多い
症状
膝関節は大腿骨と脛骨の間の関節と、大腿骨と膝蓋骨の間の関節から構成され、全体が滑膜という膜で包まれています。骨と骨の接触面は、滑らかで弾力性のある関節軟骨で覆われており、この軟骨が、膝の滑らかな運動を可能にし、また衝撃を和らげています。
変形性膝関節症では加齢や筋力低下などによりこの軟骨が変性し、すり減るために起こります。すり減った軟骨の砕片は滑膜に取り込まれて″滑膜炎″を起こします。滑膜炎を起こすと滑膜から関節液が分泌され、膝に水がたまることがあります。これは炎症を起こした滑膜から多量の関節液が分泌されるために起こります。
中高年の膝関節痛の原因としてもっとも頻度が高く、特に女性に多いです。初期症状としは、膝の裏すじが張った感じ、立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛みが生じますが徐々に正座や階段の昇降が困難となり、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、歩行が困難になります。
治療
症状が軽い場合は内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。最近いろいろな内服薬が開発されてきており効果もでできています。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。自分用のインソールなどの足底板を作成し使用することもあり効果が認められています
このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節の状態と仕事、年齢、活動性など総合的に判断して手術内容を決めます。関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。
院長からの一言
変形性膝関節症はまだあまり進行していない初期の段階では、最近いろいろな効果が認めるられる薬が出てきているのでひどくなる前に受診して治療を開始して下さい。
痛みが長引く状態が続き、体内の痛みを抑える力が弱まって痛みが発症しています。
変形性膝関節症の痛みは、痛みを伝える神経を通って、膝から脊髄に伝わりその痛みが脊髄から脳に届いて痛みとして感じます。その痛みを感じると、「痛みを抑える神経」が脊髄に働き、痛みが軽くなります。こう言った神経回路が最近わかってきました。この「痛みを抑える神経」に問題が生じると、中枢感作がおこり、痛みが長引き、痛みが感じやすい状態となり痛みの原因となります。そしてこのブレーキングシステムを正常化にしてあげると痛みが軽減します。
変形性膝関節症の人は長い期間痛みを抱えているため慢性化してしまっている方がほとんどですので、この慢性期の痛みの原因となっているブレーキングシステムを正常化する薬が有効です。この薬がデュロキセチンという内服薬です。最近全国的に使用されるようになり良い治療成績を上げています。今注目の薬です。